カテゴリー「事件の経緯」の3件の記事

no frillsさんの秀逸なまとめブログご紹介

イギリス情報の配信を中心としたno frillsさんのブログ『tnfuk [today's news from uk+]』にて、ペガーさんの事件について丁寧な解説がアップされています。

http://nofrills.seesaa.net/

各エントリの冒頭に【目次】を立てて読みやすくまとめています。関連リンク先は主に英文サイトですが、ブログ内過去ログへのリンクも貼られ、情報が充実しています。

no frillsさんは、ペガーさん「問題」の本質は「イミグレ(移民)」と「イギリスの政策の非一貫性(時事的対応としての方針転換)」にあるとしながらも、イスラム法における「同性愛」「死刑」などの関連問題にも言及し、「『人権』についてのEUの考えかたを変えてしまう」可能性を示唆しています。パート1、2併せてぜひご一読ください。

難民申請却下でイランに送還されそうなペガーさんの件、説明(1)
http://nofrills.seesaa.net/article/52948421.html

【目次】
■現状どうなってるのか:
■英国での報道はどうなのか:
■ペガーさんの件での「問題」は何か:
■ペガーさん強制送還問題の要点:
■ペガーさん強制送還問題の経緯:
■ペガーさんの難民申請が認められなかった理由は何か:

難民申請却下でイランに送還されそうなペガーさんの件、説明(2)
http://nofrills.seesaa.net/article/53042663.html

【目次】
■英国内務省の判断の根拠となる文書にはどう書かれているか:
■英国内務省の「イランでは同性愛者への迫害はない」との判断の根拠は何か:
■正直、イランはどうなのか:
■「死刑」と英国:
■補足:

***

当ブログのコメント欄にも、「不法滞在は法の裁きを受けるべき」という内容の書き込みがいくつかありましたが、ペガーさんのケースでは、難民申請が却下された時点で滞在許可が切れ、在留資格を失ったがゆえに不法滞在扱いとされました。最初からノービザでイギリスに潜入したわけではありませんので、誤解なきように。

日本国内でも、主に東南アジア諸国のひとびとによる「不法滞在」がニュースの特集として頻繁に取り上げられていますが、この問題に関して「逮捕された=犯罪者(悪人)=罰されるべき!」と連想するのはとても短絡的です。経済不況(仕事がない)、パスポートとビザ取得が困難という自国の事情がまずあります。彼らは働き口を求めて日本にやってくるのです。しかし、日本の難民・移民受入はひじょうにわずかです。そのため、来日手段は非合法(闇ブローカーの仲介)にならざるをえませんが、そうしなければ貧困にあえぎ、家族もろとも飢え死にの危機に直面します。

ひとびとの生活の安全と安心を保証しない法を守ることに、いったいどのような意味があるのでしょう。法の定めるマスゲームを演じるために、ひとが動員されるのでしょうか。法とは、ひとびとの生活を保護するためにあるのではないのでしょうか。(ミヤマアキラ)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

イタリアでの動き(2)

http://www.indymedia.org.uk/en/2007/08/379691.html

以下、引用・編集記事です。


***


イギリス政府、ぺガーさんの件を見直す。イタリア、ぺガーさんの避難先として名乗りを上げる(ローマ2007年8月25日)


379692

(8月25日、イタリア英国大使館前にて、イタリア人権団体EveryOneのメンバーたち)


イタリア政府は8月25日、イギリス政府がぺガーさんをイランに強制送還するのであれば、彼女を難民として受け入れることを表明した。


イタリアの人権団体EveryOneのRoberto Maliniさん, Matteo Pegoraroさん, Dario Picciauさん、 そしてSteed Gameroさんは、在イタリア英国大使館の筆頭書記官と面会した。


「ブラウン英国首相は、イランからの亡命者の件に関して特別な注意を払っている。そして、政府としては人権法に則った解決策を見つけたい」と英国大使館関係者は語った。


EveryOneは、イランが公表したぺガーさんへの死刑宣告書などを含み、彼女の置かれた立場を証明する重要書類をイギリス政府に手渡した。さらに、ぺガーさんのセクシュアリティを明らかにするものとして、彼女が同性愛者組織の一員であることを証明する手紙も添えられた。


Barbara Pollastriniさん(*編集注:Italian Minister for Rights and Equal Opportunities/人権機会均等省大臣か?)はEveryOneのアピールに参加すると同時に、イタリアでぺガーさんを受け入れる準備が進んでいることと、多くの閣僚がすでにこの計画に賛同していることを発表した。イタリア国会議員のFranca Bimbiさん(欧州政策委員会委員長)やFranco Grilliniさんも、EveryOneのアピールとBarbaraさんの計画への賛成を表明している。


Venice Massimoさんは、ぺガーさんの住居もすでに確保していると述べている。ローマ市長は、ぺガーさんはイタリアの首都に受け入れられるべきであると主張している(*編集注:Massimo氏がどこの市長かは記事中に明記されていません)。


一方、イギリスでは弁護団が結成され、ぺガーさんが与えられるべき保護が保障されるよう彼女を弁護する動きがある。


イタリア外務省副大臣Patrizia Sentinelliさんによれば、イタリア政府はすべての外交ルートを使って、ぺガーさんをイランに強制送還しないようイギリス政府に働きかけているという。また、その働きかけは「よい方向に進んでいる」とのこと。そして、万が一、ぺガーさんが強制送還になったとしても、イタリアが彼女を受け入れる準備は整っている、と語った。


EveryOneの行う一連の動きによって、イタリアでは党派を超えて政治的団結を深めつつある。Silvio Berlusconiが設立した右翼系政治団体Forza Italiaも、ぺガーさんをイタリアが受け入れることに賛成を表明している。また左翼系政党も、25日月曜午後、英国大使館前での座り込み抗議行動に参加し、ヨーロッパ各国においてぺガーさんと同じような立場にある人たちが難民として保護されていることを報道関係や政府関係者に訴えた。


このような象徴的事件において、倫理や政治的解決策、共通の目的を見いだすには、一枚岩の合意を作り上げるのではなく、人権に敬意と注意を払うことが大事である。そのような動きが、いままさにイタリアで起こっているのである。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

イラン人レズビアン、ペガーのイランへの強制送還に反対します。

みなさま、こんにちは。

イギリス在住の友人が送ってくれた以下の事件に驚き、日本にいるわたしにできることはなんだろうかと考えて、急ごしらえではありますが、このブログを立ち上げました。

事件の概要を簡単にお知らせします。

イラン人レズビアンのペガー・エマンバクシュさんは、イランでの迫害を逃れてイギリスへやってきましたが、難民申請が認められませんでした。ぺガーさんは、現在、イギリス入国管理局に収容されており、本国へ強制送還されそうになっています。

イランの刑法では、同性愛が厳罰に処せられるよう定められています。強制送還が決行されたら、ペガーさんは確実に死罪となります。

イギリス、イタリアをはじめ、ペガーさんの強制送還に反対する署名活動が行われています。

日本からもできるだけ多くの抗議ファックス、メール、署名をおくることによって、強制送還を阻止することができるかもしれないので、 たくさんのかたがたにこのブログを読んでいただきたいと思います。

引用・転載どこまでも大歓迎です。

事件の詳細はコチラをお読みくださいませ。先述の友人が日本語に訳してくれました。
http://www.indymedia.org.uk/en/2007/08/379484.html

ーー以下訳文ーーー
379485

イスラム刑法からの引用
「127条から134条まではレズビアンの性的関係について言及するものである。レズビアン同士の性交への罰則はむち打ち100回、また3回以上繰り返された場合は死刑である」
英国内務省, イランに関するガイダンス資料, 2007年2月27日
http://www.ind.homeoffice.gov.uk/documents/countryspecificasylumpolicyogns/iranogn?view=Binary

イラン人女性ペガー・エマンバクシュさんは、2005年にイギリスで難民認定の申請をしましたが、申請は認められませんでした。今月シェフィールドで逮捕され、現在入国管理局の収容所におり、8月28日午後9時35分発の英国航空BA6633便で、イランに強制送還されることになっています。

もし、イランに強制送還された場合、投獄され、石打ちにより処刑される危機に直面します。イランでは彼女のセクシュアリティ(同性と性的関係を持ったこと)が罪に問われるのです。

ペガーさんはパートナーの女性が逮捕され、拷問を受け、石打ちによる死刑に処せられてから、イランを脱出しイギリスで難民申請を行いました。当時、彼女の父親も逮捕され、彼女の居場所について尋問されました。彼自身も拷問を受けましたが、その後解放されました。

ペガーさんがもしイランに戻ったら、迫害を受ける恐れが十分すぎるほど考えられます。 彼女は、イランでは周知の通り厳しく迫害されている特定の集団(ゲイ、レズビアン)に属しているからです。

イランの人権活動家によると、1979年にホメイニ師が政権を掌握して以来、多くのレズビアンやゲイが処刑されてきました。イギリスの同性愛者人権団体Outrageは次のように述べています。

「イラン・イスラーム共和国は地球上でもっともホモフォビックな国と言っても過言ではない。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人々への拷問と処刑は政府主導で行われ、宗教により支持されている。これは国際的に批准されている国際人権規約への重大な挑戦である」

ペガーさんの難民申請が却下された2005年の秋と比べて、新しい大統領とともにイランはさらに保守化しています。2006年、ドイツの裁判所では、セクシュアリティを理由に死刑に処される恐れがあるため、イラン人のレズビアンは強制送還されるべきではないとの判決が下されました。

イギリス政府はイランで同性愛者が置かれている厳しい現状を十分承知しているにもかかわらず、入国管理局はペガーさんがイランに戻った場合に危険にさらされることを信じないというスタンスを取っています。

イギリス外務省のキム・ハウェルズ氏は、リンダ・マクアヴァン欧州議会議員への別件についての手紙のなかで、「イランの人々の基本的人権の保障はひどい状況で、事態はますます悪くなっている」と認めており、イランで死刑執行、公開処刑、石打ちによる死刑などが増加していることに懸念を示しています。ハウェルズ氏は同じ手紙で、イギリス外務省の死刑に関するポリシーは明確であり、すべての死刑に反対するものである、と書いています。

ペガーさんはもともとカムアウトしているレズビアンですが、ペルシア語、ファルシ語への翻訳を含むインターネット・キャンぺーンで取り上げられ、今や国際的に名を知られるようになりました。彼女のストーリーはイラン政府が支持する主要な国内ニュースサイトでも取り上げられています。

メンタルヘルス的に深刻な問題を抱えながらも、ペガーさんはシェフィールドの地域コミュニティの一員として、北部難民センターでボランティアとして働くなど、積極的に活動してきました。コミュニティ内で彼女は尊敬されており、彼女を知る人たちはイランに戻ったときの迫害の深刻さを理解しています。

ペガーさんの担当医師は、もし彼女が強制送還されることになったら、「致命的な精神的ダメージを受け、精神の破綻はまぬがれないだろう」と警告しています。今こそ彼女の強制送還を止めさせるために、ともに行動してください。

ペガーさん居住域の国会議員リチャード・カーボーン氏の要請により、先週予定されていた強制送還は来週火曜日(8月28日)に延期されました。今、彼女に新しく就いた弁護士は新たな証拠を示し、専門家の意見とともに新たな難民申請の準備をしています。ペガーさんと弁護士が申請準備をするために、再び強制送還の延期が必要です。

イギリス入国管理局は、ペガーさんを強制送還すれば、重大な不正義、深刻な人権侵害を犯すことになります。今こそ自らのガイダンスに沿って行動するよう強く求めます。

「個人の申請者がイランへの帰国に際し、同性愛行為により刑罰を受け、迫害されるという恐れがあるのならば、(迫害を受けている)特定のグループに属する者として、難民のステータスを与えられるべきである」
英国内務省、イランに関するガイダンス資料、2007年2月27日
http://www.ind.homeoffice.gov.uk/documents/countryspecificasylumpolicyogns/iranogn?view=Binary

【わたしたちが今できること】
ペガーさんの強制送還は来週の火曜日に予定され、時間が迫っています。なるべく多くの人に情報を伝え、また、ぎりぎりまでアクションを続けてください。

1.オンライン署名に参加してください。

下記のアドレスからオンライン署名をすることができます。署名文(英語)の内容はペガーさんの強制送還の中止を求めるものです。
http://www.petitiononline.com/pegah/petition.html

2.イギリス内務大臣ジャッキー・スミスに強制送還を中止するようFAXまたはEメールを送ってください。

FAXの方が効果的ですが、それが難しい場合はEメールを送ってください。
下記のモデルレターに自分の名前と住所を付け加えて使ってもよいですが、自分でレターを作成する場合はペガーのケース番号「Home Office reference number: B1191057」を必ず書くようにしてください。

Fax: Home Secretary's General Office
020 7035 3262  
+44 20 7035 3262(イギリス国外からの場合)

E-mail: smithjj@parliament.uk
homesecretary.submissions@homeoffice.gsi.gov.uk

※ファックスを送った場合は、誰がどこにファックスを送ったかこのメルアドにお知らせして欲しいです。
Contact : pegahletters@mac.com

<モデルレターの大意>
モデルレターの内容は、上記の文章とほぼ同じものに、

I would respectfully request that you release Pegah from detention and return her to her Sheffield community and reconsider Pegah’s case on Compassionate grounds and if so minded grant Pegah leave to remain.

「ペガーさんを収容所から解放し、彼女の住んでいたシェフィールドに戻れるようにすることを強く求めます。また、ペガーさんの難民申請のケースを慈悲の観点から再考し、英国での滞在権を与えるよう要請します」

という文面を付け加えたものです。

| | コメント (18) | トラックバック (9)